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生命の起源 #1571 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1571
DATE
01/28/2005 09:27:24 PM
TITLE
[life:001571] Re: 宇宙のグリシン「検出」報告,否定される
AUTHOR
MITA Hajime <mita@***.***>
BODY


大石先生、飯田様、LIFEの皆様

筑波大の三田です。

大石先生も以前より、グリシンは見つからないというか、他のスペクトル線は観
測されないと学会などで報告されていましたが、先生の観測より広範囲の測定を
したため、ご紹介の論文でグリシンが見つからないという結論に至ったというこ
とでしょうか。
単に、見つかるべきスペクトルがみつからないというだけでなく、2003年のグリ
シンを検出したという論文でのスペクトルの帰属が異なると言っていると言い切っ
ているようですが、その辺の評価はどうなるのでしょうか。

この結論ですと、「まだ、グリシンが存在すると言って良いだけの証拠が十分で
はない」というのではなく、「現時点でグリシンが存在する証拠はない」という
ことになるかと思いますが、そのような認識で良いのでしょうか。


三田 肇
筑波大学化学系
mita@***.***

> 飯田様
>
> 国立天文台の大石です。
>
> >企業の研究所におりますため下記のジャーナルは
> >入手しづらいので
>
> 天文の雑誌ですので,入手しづらいでしょう。申し訳ありません。
> 天文台では購読しており電子版をダウンロードできるのですが,
> さすがにメーリングリストにファイルを添付するわけにも行きません。
> 星間グリシンの検出の話は,専門家以外向けの解説記事はあまり
> ないと思います。地惑合同大会などで紹介されている程度でしょう。
>
> >そしてもう少しだけ啓蒙いただけるようでしたら,
> >どうして星間物質にグリシンが含まれている/いない
> >ということがそれほど騒がれているかお聞かせ下さい.
> >
> >それはもう膨大な量見つかったのでしょうか,
> >生成するはずのない環境で見つかったのでしょうか?
>
> ちょっと長くなりますが・・・
>
> 太陽系を誕生させたガス雲は,もっと巨大なガス雲が重力収縮して
> できたものです。収縮は数千万年も続きます。そしてそのガスの
> 中で多種多様な化学反応により,様々な分子が形成されます。
> これらの分子は星間分子と呼ばれており,現在130種類ほど知られて
> います。これらはおよそ40年ほど前から発見され,その中には
> 地球上でもよく知られた有機分子も含まれています。アミノ基を
> 含んだ分子やカルボキシル基を含んだものもあり,かなり古く
> からタンパク質を形成するアミノ酸が宇宙で生成されるのか?と
> いう問いに答えようとする研究者がいます。これらの有機分子は
> 原始太陽系星雲の誕生とともに,彗星などに取り込まれると
> 考えられています。こういった小天体が合体・成長してできあがった
> のが太陽系の惑星であると考えられているため,生命の起原が
> もしかしたら宇宙にあるのではないのか?という問いが生じる
> からです。最も単純なアミノ酸であるグリシンが最初のターゲット
> なのですが,探査は失敗続きでした。
>
> #アミノ酸がいれば生命が誕生することに直結するのではない
> #ことは明らかですが。味の素の瓶から生き物は生まれません。
>
> ところが2003年になってKuanらが「宇宙のグリシンを検出した」
> とする論文を発表しました。Kuanらは,27本のものグリシンの電波
> 領域にある回転スペクトル線を観測しました。観測したのはオリオン
> 大星雲の中,銀河系の中心近くにある巨大分子雲などです。
> こういう領域ではたくさんの有機分子が存在することが知られて
> います。ですからグリシンがあったとしてもおかしくはないのです。
> グリシンの回転スペクトルは実験室で測定されたパラメータを用いて
> 計算したものを用いており,誤差があること,また,最も強く観測され
> るべきスペクトル線が見えていないことなど,論文出版直後から
> 報告内容を疑問視する声がありました。
>
> 私も追試観測をしたのですが,確認には至っていませんでした。
> 「見えるべきモノが見えないのだから,やはり怪しい」と思って
> いたのですが,同様の見方をしていた米国の研究者が否定論文を
> 出した,というわけです。



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Version: 7.0.300 / Virus Database: 265.7.5 - Release Date: 2005/01/26

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