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生命の起源 #149 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
149
DATE
10/08/1997 05:15:32 AM
TITLE
[life:000149] Re: What is life?
AUTHOR
"KOUICHI Takahashi-S" <t94249kt@***.***>
BODY


高橋です。こんにちは。

From: Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所 <iida@***.***>
Subject: [LIFE - No.00147] Re: What is life?
Date: Mon, 06 Oct 1997 16:35:40 +0900

> 私は,普遍的な性質を捉えているという意味で
>
> 1.生命も抽象概念(客観的に記述できるたぐいの)の一つだと考えて
>
> おります.同じラインで個体としての生命が実在するのならば,”種”に
> 相当するそれも実在してよくないでしょうか? それで

> 2.上の”種”や”多細胞生物”に相当する生命があって良いと考えておりま
> す.

どうも誤解があるようです。種ではなくて生態系というのだったらば、
そのような系が生命システムと相似であるという議論は納得できます。
僕がいっているのは種と細胞や個体あるいは生態系はクラスヒエラルキー的に
遠いので比較できないということだけです。説明不足でしたら申し訳ありません。
種等の観念と細胞等のシステムの決定的な違いは、系の立脚する空間が
物理的なものであるか概念的なものであるかということです。
例えば、オートポイエーシスの研究者である河本英夫氏は、カフカの
文学作品(たしか「審判」だったとおもいます)をオートポイエーシス論を
用いて分析する試みをおこなっています。また、オートポイエーシス論は
精神分析の分野での応用も行われています。マトゥラーナ/ヴァレラは
オートポイエーシス系は生命と同義であると定義していますから、
文学作品や人間の精神世界は生命であるという言い方がたしかに成り立ちます。
しかし、現段階でこれらと細胞等の系を同列に扱うのは議論を複雑にするだけ
であまり得策ではないと考えます。
種が生命であるとするのにはやはり納得できませんが、ただ、地球や
社会を生命と同じ構造を持ったシステムであるとする考え方は非常に
魅力的な(理論の美しさとして)考え方で、結論に至ってはいませんが
僕も以前から考えていました。

> 個体の基準をキチンと書いてみてからの議論になりますが,観察のスケールが
> 異なるだけで,個体の判定基準とほぼ同じ基準を満たす実体が存在するように思
> えます.
>
> ラフな表現で申し訳ないですが,生殖,自己増殖は,”種”に相当するスケール
> では,代謝に相当する現象とは言えないでしょうか?”要素としての個体”が,
> 生成し消滅してゆき,その過程で何かが組織されてゆきますよね.
> 個体の場合も”要素である生体分子”が生成消滅してゆき,その過程で生命らし
> き
> 振る舞いが組織されてゆきます.個体スケールで代謝が非常に重要な性質で
> あるのと同様に要素としての個体の生成消滅(つまり生殖,あるいは自己増殖)
> は非常に重要な性質ではないでしょうか?
>
>
> ある個体が生命であるか否かを判定する時,我々が観測するのは,代謝や刺激
> 反応性という個体の寿命のスケールよりは小さな,要素のスケールでの現象で
> す.
> 同様に,上で,生殖あるいは自己増殖というスケールは”種”に相当する存在の
> スケールに対しては,要素のスケールの事象です.

そのとおりのことを僕も言いたかったんです。
ただ、その論理でいくと、たとえば細胞レベルでは酵素を介した物質変換つまり
構成素の産出関係によってシステムが自己創出しているわけですが、
ここで問題にしているのはそのような意味での構成素の産出(増植)ではなくて
システム全体つまり細胞個体の増植ですよね?
そうすると"種"のレベルでの個体の増植は細胞レベルでの構成素の産出に対応
するわけで、議論がずれてしまうことになります。
というわけでやはり自己増植よりも代謝や自己創出のほうが本質的な
気がするのですが。


> 高橋さん> ルーマンの社会システム理論での社会は...
>
> 興味あります.文献をご紹介下さい.勉強させていただきます.:)

「社会システム理論」というそのもののタイトルの本が出ていたとおもいます。
訳もあったはずです。その筋では有名な本(らしい)ので、普通の規模の
図書館ならば社会学関係のあたりに置いてあるとおもいます。


慶應義塾大学s 環境情報学部 (Bioinformatics Lab.) ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
高橋 恒一
_____Kouichi Takahashi t94249kt@***.*** _______


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