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飯田 先生
進化を物質の観点ではなく、情報の観点で考える
研究をしています。「コンピュータ内で知能を進化させる」
という応用にも結びつくのが利点の研究です。
複雑系分野のカウフマン(『自己組織化と進化の論理』
などの著書あり)と立脚点が似ているところがありますが、
独立に進めてきた研究です。
主要な体系は、「コンピュータの能力は『非線形性』と『否定』
という必要十分条件で表される」という、私が証明した定理から
展開していっているものです。
(オペロンは非線形と否定という特性をもちます)
非線形のデジタル素子と、否定のデジタル素子があって、
そのランダムネットワークを組む(フィードバックを許す)と、
やがて確率的にコンピュータが生まれると考えます。
非線形性の方が重要なようで、「否定はたった1個でも
コンピュータを作れる」という定理も証明しています。
(これは高度なパズルです)
生命の基本を「ストリングの複製」能力と考えます。
物質の保存則が成り立つ下で、ストリングの複製ができる
素子は、「非線形性」をもち、かつ「否定」を実現できます。
ということは、そのような素子をランダムにつなぎ合わせて
いくと、ある小さな確率でコンピュータが生まれます。
ストリング複製を「生命」、コンピュータと等価の能力を「知能」
と考えますと、進化という観点で「生命=知能」です。
あるいは、「生命が進化すると、必然的に知能を生む」
という、抽象的ですが根本問題にかかわる定理かと考えます。
(よその星に生命体がいたら、なんらかの知能をもつとの理論証明)
なお、コンピュータ分野では、コンピュータはどんな計算でも
シミュレートできるので、人間の脳もプログラムさえ書けば、
原理的にはそっくり真似ることができる、と理論的に考えます。
つまり、「コンピュータの能力=知能」と考えるのは、比喩や近似でなく、
理論的に厳密な背景をもっています。
ナマモノを扱わないし、数学理論なので、皆様には奇妙な
体系と見えてしまうかと存じます。ただ、非常にシンプルなのに
根本的な問題をすっきり見通せるので、自分では気に入っています。
知能の分野では、ちびちび実験を進めていまして、
ニューロコンピュータでは実験しにくい漢字認識をやってみて、
実用レベルの認識性能に達することがわかってきています。
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京都市左京区吉田本町
京都大学 情報学研究科
稲垣 耕作
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