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生命の起源 #1287 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1287
DATE
09/10/2001 09:12:12 AM
TITLE
[life:001287] Re: What is life? : a tiny tree toward the
AUTHOR
Kazuhiro Iida <piyopiyo@***.***>
BODY


三田様 lifeの皆様

つづきです.

>次は,短鎖(炭素数10以下)の脂肪酸を材料とする脂質膜,あるいは炭素数18「以上」
>の脂肪酸
「以下」の間違いです。

>からなる膜ですが ,

脂肪酸の膜については,透過性の正確なデータがあまりないようです.(データをお持ち
の方,是非お教え下さい.) Walde(Walde, et.al. J.Am.Chem.Soc. 116:7541-7547, 1994)
らがオレイン酸(C18,不飽和結合数1)の膜について,pH9でAMP,ADP,ATPの透過性
を調べたデータがあります.
72mMの濃度で直径100nmのオレイン酸膜胞をつくり,外液に9mMのAMP,ADP,
ATPを加えたところ,室温で4時間半以内に,分配が飽和し,約3%のAMP,ADP,
ATPが膜胞に分配されたと報告しています.AMP,ADP,ATPで分配率に差はみら
れなかったそうです.
とすると,4時間半で概算0.3mM =1.8×10^20個の分子が透過した計算になりますが,
先の脂質膜では,この時間内では数個のイオンしか透過していない計算ですので,かなり
透過性が高く,局所での物質の流れは「ゆっくり」とはいえないでしょう.

脂質膜でも,構成脂肪酸の長さが短くなると透過係数が向上することが知られています.
これについても,原著は手元に無いのですが,Paula(Paula et.al. BioPhys.
J. 70:339-348, 1996:どなたかコピーさせて下さーい.^^;)らによると脂肪酸の長さが
18から14になると,透過係数が数千倍になるとのこと.さらにC10脂肪酸の脂質膜の場合,
数秒で内外の濃度差が消失してしまうと報告しています.C14の場合,「ゆっくり」かどうか
を判定するには,正確なデータを入手しないといけませんが,C10の長さの脂肪酸を材料とす
る脂質二重膜の場合,明らかに「ゆっくり」とは言えないでしょう.

これらは,脂肪酸の膜(?C18),短い脂肪酸(C14未満)からなる脂質膜は,
流れ制限が強く「ない」ことを示す事例です.

次に,マリソーム,プロテノイドミクロスフェアカプセル,コアセルベート,ヒドロゲル
ですが,(つづく)


飯田一浩@台風15号がくるのに自転車通勤 ^^;).

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