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生命の起源 #1281 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1281
DATE
09/02/2001 11:46:13 AM
TITLE
[life:001281] Re: What is life? : a tiny tree toward the membrane
AUTHOR
mita@***.*** (Mita, Hajime)
BODY


飯田様 lifeの皆様

> 2.溶解と拡散による散逸構造
> 2.は,アミノ酸の重合物でできた粒子で観察されています.アミノ酸を加熱して
> 水と作用させ乾燥させることを繰り返すと,複雑な組成のアミノ酸重合物でできた
> 球ができます.この球と塩基性水溶液が作用すると,内部が空洞の膜胞が形成
> されます.具体的な反応機構は不明ですが,その内側では膜胞をつくっている物
> 質が溶解され,その外側では膜胞の材料が拡散するような現象を生じていること
> を長岡技術大学のグループが(桜沢氏,現在は生命研)観察しました(Sakurazawa,
> S., Imai, E., Honda, H., Matsuno, K. Microcapsule formation in self-assem
>bly of
> thermal hetero complex molecules form amino acids, Colloid. Polym. Sci. 274:
> 899-903 (1996) ).この作られては壊されるという形成過程は,散逸構造と呼ぶ
> べきものでしょう.

溶解と拡散による散逸構造が2番目の生成機構とすることと、その例として、プロテ
イノイドミクロスフェアが適当か否かには疑問があります。

まづ、本当にプロテイノイドミクロスフェアの内部に空洞があるのかどうか?昔、先
輩がやっていた実験の結果から、うろ覚えで申し訳ありませんが、内部構造について
は疑問点があると議論していました。溶質とプロテイノイドミクロスフェアの間での
、溶解凝集が平衡的に起きているのは間違いないでしょう。表層に殻のような形態が
見られるのも事実です。しかし、その内部構造ははっきりしていないはづです。もっ
とも、細胞も内部が全くの空洞ではなく、細胞質などに満ちているわけですが。内側
における密度が表層と異なれば、多少なりとも溶解していると見ることもできなくあ
りません。

均質溶液に何らかの場が生成し、密度の異なる空間ができた場合、その溶質濃度を見
れば「溶解と拡散した散逸状態」かもしれませんが、あくまで結果であり生成機構で
はないと思います。生成機構は、均質溶液中に加えられた力であると思います。プロ
テイノイドミクロスフェアの形成には、イオン種・イオン強度の寄与が大きいことが
知られています。ですから、静電的なあるいはイオン的作用が球状体形成に効いてい
ると考えるべきだと思います。

疎水相互作用で形成するミセルも、溶解と拡散というとイメージが多少異なりますが
、プロテイノイドミクロスフェアに比べると非常にドラスティックな変化ですが、散
逸構造には違いないのではないでしょうか?

なお、櫻沢氏ははこだて未来大学に移り、小さいなりにも1城の主になったようです
。また、生命の起原の研究も再開するそうです。

三田 肇 MITA, Hajime
E-Mail : mita@***.***


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