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生命の起源 #1264 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1264
DATE
08/26/2001 05:28:30 PM
TITLE
[life:001264] Re: What is life? : The phylogenic tree of
AUTHOR
Kazuhiro Iida <piyopiyo@***.***>
BODY


三田様 lifeの皆様


(つづきです.長くてすみません.)


2.属性A,Bのが満たすべき条件式から,実験で計測すべきパラメタ,
  必要な物質の組み合わせ,反応条件が推察できる.


これは,物理化学現象に関する知識を参照して,
・属性の条件式に含まれるパラメタの種類,
・条件式内でのパラメタの組み合わせ
を元に,実験系の
1.構成成分,
2.それらに作用すべき効果,
3.望ましい作用過程(遷移規則)
が推定できそうだという意味です.
(できそうだと書いたのは,まだシミュレーションでしか確認していないからです.)

実験系は,おそらく次の三つ組み,
1.構成成分(分子,構造および構造要素)
2.それらに作用する効果(駆動力,その他の効果)
3.作用の過程を記述する遷移規則(微分規則,制約条件,有効相体積)
の種類で指定できると思われます.

それらの三つ組みに関する情報は,属性A,Bが満たすべき条件式の
次のような点に注目すると得られます.

1)属性A,Bに含まれる物理化学パラメタの種類
(成分に関するパラメタか,効果に関するパラメタか?)
2)そのパラメタと他のパラメタへの変換関係
(パラメタから他のパラメタへの変換,その逆の変換は知られているか?)
3)小項目群内の組み合わせ
(属性を分解した小項目の条件式に含まれるパラメタの組み合わせ).

種類については,パラメタが,構成成分(分子,構造(構造要素))に付随するパラメタ,
例えば物質濃度,成分比,サイズ,空間分布,を表す場合,どの分子なら,それらの
濃度や成分比,クラスターサイズに到達できるかを考えることができます.例えば,
生成した直後に凝集して沈殿してしまう塩化銀のような物質は,反応液中での濃度が
ある程度以上にはなれませんが,沈殿した先では逆に高濃度です.同じことが,脂質
の凝集についても言えます.

パラメタが効果(駆動力,その他の効果)に付随するパラメタ,例えば静電気力,電界
強度,圧力,温度,エントロピーだった場合,どんな因子がそれらを変化させるかを考え
ることができます.例えば,静電気力は誘電体の存在を暗示し,圧力は限られた空間
サイズを暗示します.

そのパラメタと他のパラメタとの間に変換関係,例えば,・化学反応(A+B→C),
・化学ポテンシャルから熱への変換,・分子が凝集してクラスターを形成する,
・化学ポテンシャルが拡散によって運動エネルギーへ転換される,などの関係が既知の
場合,それらは実験系で起こるべき遷移の候補となります.

さらに属性の小項目群内でのパラメタの組み合わせを元に,遷移規則について考える
ことができます.

通常,小項目群は成分に関する条件式と効果に関する条件式から成っています.
成分に関する条件式と,効果に関する条件式の組み合わせに注目しますと,もし,その
効果がその成分に対して作用する場合,例えば,「効果」が電気的分極で,「成分(構造
も含みます)」が,規則的に配置した誘電体(脂質膜)ならば,電気的双極子形成によ
る自己組織過程が,起こるべき遷移の候補に挙がるでしょう.また,「効果」が温度上昇
で,「成分」が高濃度な生成物質なら,その物質の生成あるいは分解反応の反応定数に
対する温度の効果が遷移規則の候補に挙がるでしょう.

逆に「成分」が「効果」を発揮すること,例えば,「成分」が脂質の膜胞で,「効果」が,膜の
分極なら,膜による電荷移動の制限による分極過程が起こるべき遷移の候補に挙がり,
「成分」が高濃度の物質で,「効果」が物質の流れなら,化学ポテンシャルの上昇に伴う
拡散現象が候補に挙がるでしょう.

小項目の条件式が,共に成分に関するものだった場合でも,「成分1」の構造を「成分2」
のスケールで見て,複数の「成分2」に分解できる場合,例えば,膠原繊維とコラーゲン
分子の場合,分子の規則的凝集過程が起こるべき遷移の候補に挙がるでしょう.

共に効果に関する条件式だった場合でも,「効果1」が「効果2」を生じさせることが既知の
場合,例えば,局所的な熱の発生と圧力の場合,熱による体積膨張と圧力に関するボイル
シャルルの関係が遷移規則の候補に挙がるでしょうし,分子クラスターに作用する電界
強度とクラスターの運動の場合なら,動摩擦方程式が遷移規則の候補に挙げることが
できるでしょう.

(具体的な例でなくて,恐縮です.後日,特定の進化ステップに注目して実験を計画します
ので,その際はもっと具体的な物質名や反応条件を挙げられるようにしたいと思います.
ただし「個人で実験室を持つのはたいへん」という問題は残ります.)


               (つづく,ほんとに長くてすみません.)  飯田一浩

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