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生命の起源 #1238 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1238
DATE
07/31/2001 11:49:14 AM
TITLE
[life:001238] Re: 個人で基礎研究できる環境
AUTHOR
kawamura@***.*** (KAWAMURA Kunio)
BODY


飯田様.川村です.何回かのメールにその都度考えを書いていましたが,メールを発
進する機会がなかったので今回まとめて発進します.内容が重複しているところもあ
りますがお許し下さい.

>私が日ごろ感じますことは,
>1.ネット上で最先端の議論ができるような,環境づくり
>2.その内容を論文等,まとまった形で発信できるしくみ
>の必要性です.
>
>ネット上での議論は,なにか揮発的で良いアイデアを出しても
>その場かぎりになってしまうような感じがします.信頼のおける
>機関が恒久的に議論内容を記録し,整理番号で論文内などで
>参照できるようになると,議論の質も向上するのではと思います.
>
>現在,lifeでの議論は,ある国立機関のマシンに記録されWebで
>参照できるようになっています.しかし必ずしも読みやすいフォー
>マットはなく,論文で参照できる状況にはないと思います.
>
>そこで,
>ある程度議論がすすんだら,論文,もしくは速報のフォーマット
>で記録する工夫が必要ではないかと思っております.

例えば,学会のproceedingsをまとめたものの最後に,議論の内容が載っているもの
があります.また会談等が出版されることもあるのですから,可能だと思います.主
題を決めてやや長く討論してまとまったものにするといいと思います.例えば,これ
までのlifeでの議論から面白そうな主題について議論をさらに煮詰めて量と質を高め
,論文形にする必要があると思います.それをVivaOrigino上で当面News and Views
に掲載するという形ではないでしょうか.
論文で参照するというのは,VivaOrigino上でするのが可能性があると思います.引
用すること自体は著者が引用しようとする意志があればできることだと思います.昔
は論文での引用には講演内容まで含まれていたようですが,現在では講演が引用され
ることはめったにありません.しかし,電子化などによって研究を公表する事自体が
大変簡単になってきているということは,講演と論文の差別化の垣根を小さくしてい
ると思います.同時に,そのような一般的な議論を公表することは,専門家と一般の
人の垣根も小さくすることになります.引用するとすると,webのアドレスを書くと
言うことになると思いますので,lifeのアドレスをorigin-life.gr.jpに移行した方
がいいと思います.

>例えば,
>life上での議論でこれは面白くて研究に
>値するというものが見つかれば,その議論の参加者間で
>直接議論を深めて,グループで論文をつくるようなケース
>がありえますが,
>
>それ以前に,その話題が本当に研究に値するテーマである
>と分かる程度にまでは,(例えばlifeから)情報を得る必要が
>あるでしょう.
>
>もし,安心してlife上で発表できるのか?と疑心暗鬼に陥って
>しまうようなことがあれば,斬新なテーマの議論がなくなり
>先のようなグループでの研究に至ることもないでしょう.
>
>そうした心配をせずにすみ,しかもフォーマットをあまり気に
>せず投稿できるような仕組みは無いかと考えているのですが
>どなたか、そのような仕組みで運営されているディスカッション
>グループの経験談とかお持ちでないでしょうか?

論文と考えるよりも,議論をまとめたものと言うことのほうが面白いのではないでし
ょうか.ただし,責任者(著者)が必要です.座談会などを本にまとめたものは参考
になると思いますが,2人の対談というのが多い気がします.また,議論がそのまま
研究論文として成り立つかというと難しい気がします.ネット上でのアイデアをもと
に論文を作成することと,ネット上での議論を保存あるいはもう少しまとまった形に
すると言うことを分けた方がいいと思います.そのほか,議論の中にはアイデアがた
くさん含まれていて,そのようなアイデアだけのものにプライオリティーがあるのか
どうか,後々問題になる可能性があると思います.すでに議論も公表されて記録もネ
ット上にありますので,アイデアについてはプライオリティーのようなものは通用す
るのかも知れませんが,この点はかなり懐疑的です.
lifeのバックナンバーをみると,What is life? とかきちんとした体裁でまとめるべ
き内容があると思います.例えば,もう一度この時の議論を受けてWhat is life?と
いうことについて参加者をつのり,意見をある程度まとめた形で書いてもらいます.
lifeでの内容を引用する場合はそれをそのまま引用する,ということにすればlifeも
生きてきます.また,その後にさらにディスカッションをつければまとまったものに
なるのではないでしょうか.でもやはり率直に言って,難しそうです.多くの人が言
ったことをネット上でまとめるというのは出来るのでしょうか.一人で研究している
立場からは,意見の異なる人どうしで論文を書くことは至難の業に思えてきます.経
験のある方アドバイスをお願いします.

>lifeの皆様
>情報がないので、少し自分で考えてみました.
>
>現在、lifeの議論は全て採番して記録されWebでも参照できるので
>オンラインのディスカッションの基本的要件はすでに満たされています.
>それで、このインフラを使ってどこまで、生産的な議論ができるか
>考えてみましたところ、いくつかの(当たり前の)アイデアが浮かび
>ました.
>
>1.文書の添付とWeb参照
>
>まず、電子メールの文書はあまり長いと読みにくくなるので短く
>書く;すると議論が切れ切れになってしまうという問題があります.
>これも、Webでのスレッド参照で改善されているのですが、
>やはり、ひとまとめの文書(論文形式)も公開できるようになると
>良いと思います.
>
>また、表や、グラフ、図形があると論点が明確になるので
>これを参照しながら議論できると良いことは明らかです.
>
>この要求を満たす簡単な方法は、lifeのメールに画像を含む論文
>形式のファイルを添付することです.これがWebから参照できれば
>かなり建設的な議論が展開できるのではと考えます.
>
>しかし、ワードやHTMLの添付フアイルを開くのは、ウイルス等が含
>まれるケースがあるので、ちょっと腰がひけてしまうのと、形式によっ
>てはフアイルサイズが大きすぎてシステムへの負荷、参照側の
>コンピュータの負荷を上げてしまう可能性もあります.
>
>ひとつの候補としてはアドビのPDFフアイルかと思いますが
>PDFは安全で小さいか?と聞かれると自信がありません.
>(この辺に詳しい方ご指導いただければ幸いです。 fmlのWeb
>公開機能でPDFフアイルが参照できるか?これは現在しらべております.)
>
>2.ホストの恒久性
>
>もうひとつ、問題なのはメールリストのデータを参照する際に、ホスト
>が移動したり、アドレスが変更されたりして参照できなくなる
>ことです.この心配をなくすには、政府機関にホストになってもらう
>などが考えられますが、最近は政府機関も構造再編で恒久的
>とはいえない部分も出てきていると思います.
>
>そうなりますと、「ホストは変わるがはあたり前」という前提で、しかも
>恒久的参照を実現する方法が必要です.
>

最初のご提案は,論文として残したり,議論の内容を引用できるような形にするとい
う事だったと思いますが,私は,まずこれまでのlife議論の中から,論文あるいは座
談会集のようなものをつくる具体的な作業がまず先だと思います.ネット上の環境は
すでに十分整っていると思います.論文を投稿する媒体としてはVivaOriginoが最適
ではないでしょうか.技術的な問題もあると思いますが,やはり誰がどのような題材
で誰と論文をつくるのかという具体性が必要だと思います.ホストの恒久性について
は,インターネット自体が未来にどうなるのか誰も分かりませんからハードを残して
おけばいいと思います.VivaOriginoに投稿するとして,最初はNews and Viewsでた
めしてみてはどうでしょうか.その際,引用として必要なところをlifeから参照した
らよいと思います.手続として,(1)題目を決める,(2)話題の立ち上げ者以外
の著者を決める(依頼する,集める),(3)原稿を作成する,(4)投稿する,に
なると思います.(1)と(2)は同時あるいは逆転するかも知れません.
その中で,lifeでの議論を引用するかも知れないわけですが,これは学会の講演内容
やprivate communicationを引用するようなものと解釈すればいいのではないでしょ
うか.講演内容はアブストラクトは残りますが,話したことまでは証拠が残らないの
が普通だと思います.だから,本当は講演内容もその都度文書にしておくのが望まし
いのでしょうが,電子媒体は言いっぱなしと違って,証拠が残ります.lifeの内容も
ハードを残せばいつでも出し入れ可能なので,発言よりはずっと引用しやすいはずです.

飯田さんのこのようなご提案を考えていると,科学というのは情報発進と評価と言う
点で混沌としてきたと思います.自分で勝手に発言すると言うやり方がインターネッ
トによって可能になり,極端な場合には従来の論文という形に拮抗する可能性もある
と思います.一方で,従来の論文は審査が質を左右します.だから自分勝手に発進で
きるインターネットは質は不明と言うことになります.しかし,審査が厳しいと言う
ことは,どうしても既存の考えにとらわれがちになり,確立された人たちの意見や大
国の主張が重視されます.これはまさに市場原理に基づいていて,一極集中のような
自体が起こっています.しかし,いま世界は色々な分野で一極集中,大国の論理(グ
ローバル化,アメリカ化)に対抗する逆向きの流れが出てきており,科学もその流れ
にのってくると考えます.だから,今後はlifeのような議論をそのまま掲載する言い
っぱなしの論文があり得ると思います(もうすでにあるかも知れません).またもう
一つの理由は情報の発信と情報の評価は今後分化してくると思うからです.現在でも
発進と評価は分かれる傾向が見られます.その例は色々な賞や,citation indexなど
の様々の外部評価の方法があることです.研究の質は,評価をしなければ向上しませ
ん.だから何らかの評価を受ける必要があるわけですが,発進よりも評価が大変難し
いと思います.評価という視点からは,現在は情報発信をするのが逆に難しい時代で
はないかと思います.

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川村邦男
大阪府立大学 工学部 応用化学科
〒599−8531 大阪府 堺市 学園町1−1
電話    0722−52−1161 内線2356
ファックス 0722−54−9903
kawamura@***.***

Dr. KAWAMURA Kunio
Department of Applied Chemistry
Osaka Prefecture University
Sakai, Osaka 599-8531, NIPPON (JAPAN)
TEL 81-722-52-1161 ext 2356
FAX 81-722-54-9903
kawamura@***.***

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