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生命の起源 #1224 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1224
DATE
07/17/2001 09:42:47 AM
TITLE
[life:001224] Re: NASA と NASDA
AUTHOR
kawamura@***.*** (KAWAMURA Kunio)
BODY


川村です.

>> NASAが生命起原に関する情報を火星探査にからめて
>> どしどし発信しているのが、日ごろからうらやましく思います.
>>

>>
>> 1)単なる予算の差
>>    から生命起原に関する研究がとりあげにくいのか?
>> 2)日本の宇宙研究の範疇から
>>    生命の起原は、そもそも外されているのか?
>>
>> 深くなやんでいるわけではありませんが、日ごろ疑問に
>> 思っております.

>NASDA本体はご存じのように基礎研究はほとんど行っていません。
>宇宙科学研究所はその意味では我が国における宇宙関連基礎研究の中心地と考える事
>ができます。しかし研究の中心は惑星物理学、宇宙物理学、宇宙工学で、生命の起源
>に関連した常勤の研究者は清水先生が退官されたあとはいないようです。
>
>そもそも、一人だけで宇宙の起源研究を背負うというのも不可能な話です。宇宙(惑
>星)化学、化学進化、微生物etc という様々な全く異なった分野に、そうでなくても
>少ない生命の起源関連の研究者が分散してしまっているために、予算を獲得する勢力
>になりにくいということではないでしょうか?
>
>いったんそういう状況になると、勢力がないから研究予算が得にくい、だから研究者
>が増えないという悪循環になってしまいそうな気がします。
>
>大変ですが、少なくとも研究の重要性をあちこちの学界で説いて回る(シンポジウム
>を設定して殴り込みをかける)ということかなにかが必要かもしれません。
>

日本では生命の起原の研究は宇宙研究の範疇だけでなく自然科学の研究からはずされ
てしまっていると思います.科研費の申請項目にも化学進化や生命の起原の問題は含
まれていません.人気のある研究には巨額の予算がつくのに,逆はゼロというのは問
題です.人気のない研究は金がつかないから人が集まらないという悪循環に陥ってい
ます.日本で人気がなくても研究としてフロンティアであるなら,ゼロでなく少額で
も持続的に研究を支援するべきです.それが基礎研究を絶やさないために政府がすべ
き事だと思います.もう一つは研究者の立場からは,金が集まる研究に走らないと言
うことです.かたくなに自分のすべき研究を遂行するという頑固さが必要です.これ
は我々はもっとねばり強く頑固でなければいけないと思います.民間では政府の支援
など何も受けずに成功したプロジェクトXのような話がいくつもあるわけですから,
ゼロからでも出来ると言う確信を大学の先生も持つべきです.巨大科学の問題点は改
善しなければなりませんが,だからといって我々が自分の研究を曲げて金が使える研
究に行くべきではないです.

シンポジウムを設定して殴り込みをかけるというのは面白そうですね.それが研究費
獲得につながるかどうかは分かりませんが,我々の分野での成果を知らしめるという
努力は必要だと思います.

NASAがたくさん情報発信していると言うことですが,NASAは既にエスタブリッシュメ
ントだから,それを見る人は権威づけられますね.アメリカの研究自体がこのアメリ
カにとっての好サイクルの中に入っています.日本はこの逆です.日本人のやること
は独創的でないというレッテルがアメリカによって貼られ,そのため新しい理論や発
見も受け入れられにくいという状況があると思います.そういう意味では,科学政策
として国際戦略が日本は欠けているということだと思います.国際戦略も政府だけの
責任ではなくて,我々も個人レベルで考えないとならない問題だと思います.

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川村邦男
大阪府立大学 工学部 応用化学科
〒599−8531 大阪府 堺市 学園町1−1
電話    0722−52−1161 内線2356
ファックス 0722−54−9903
kawamura@***.***

Dr. KAWAMURA Kunio
Department of Applied Chemistry
Osaka Prefecture University
Sakai, Osaka 599-8531, NIPPON (JAPAN)
TEL 81-722-52-1161 ext 2356
FAX 81-722-54-9903
kawamura@***.***

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