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小野様 LIFEの皆様
(続き)
> この意味での「境界」があり、それが「閉じて」いるために
> その内側が、なんらかの意味で独立した部分系として認識される
> ようになると言えませんか?(たぶん、生命に限らず)
>
> (まあ、飯田さんの
> >2.生命を議論する対象となる部分系は,物理的境界の内部であって,
> > 境界の離散的な分布を形成するメカニズムを保有する
> をちょっと言い換えただけになりますが。)
>
(コメントを拝見して,思いいたりました.)
1.形態的に「閉じている」ことは,部分系の検出に不可欠では
ありません.訂正させていただきます.
2.検出された離散的な分布自体,部分系
と考える方が合理的です.
離散的な分布自体が部分系であるとして,その分布上にあるか
いなかで内側,外側を議論することが可能です.
形態的に閉じているか否かは,それ以後の議論です.
3.階層の見方?の話
小野さん> ただ、「階層」をどうやって見分けたらいいかがまだ
> よくわかりませんが..
検出対象が階層的な構造を持つことをどう見て,
どう書くか,という問いと解釈いたします.
この話題は,面白い話題で長くなります.かいつまみますと,
検出装置が,
A.全域的で不変と考えるか,
B.局所的で可変と考えるかによって記述が変わるはずです.
後者は,
1)一個の検出装置が,一度に限られた時空間スケール
しか観察できない(局所的),
2)観測対象との相互作用の過程で適当なτに収束する(可変),
ような場合です.おそらく内部観察関連のスレッドが近日できる
でしょうから,そこで議論されると思います.
私は,前者,全域的で不変な装置をイメージする立場です.
思考のツールとして以下のような検出装置セットを想定する
と良いと考えております.
1)観察対象とは,無視できる程度の相互作用しかしない.
(例えば,コロイドの凝集を光学的に観察する場合など,
多くの場合でこの仮定が妥当です.量子力学的な効果
を議論する際には当然,拡張が必要です.)
2)時空間スケールτの適合度を評価する.
3)そのような検出装置が無数に存在しており,並列に
τの全域をカバーしている.
適合度が十分高いことは,そのスケールの時空間構造が
存在することを意味し,τ軸上に複数の適合度のピーク
があればそれらは,階層的に見えるでしょう.
もちろん上の検出装置は,生命システムをモデル化する
ために想定された(本来は,人間の認識過程を代表すべ
き)思考ツールですが,実際に計測装置を用いる場合
(例えば,スペクトル分析器みたいな)により近い,自然
なイメージを与えると思っています.
(このツールで生命の階層性を定量的にキチンと表現できた
わけでもないので,その辺は眉つばです.)
飯田一浩
--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.
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