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生命の起源 #110 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
110
DATE
09/24/1997 05:40:40 AM
TITLE
[life:000110] Re: What is life?
AUTHOR
"飯田一浩" <iida@***.***>
BODY


荒 様 Life の皆様


7.上位階層から見た自己組織,自己崩壊過程と「持続」の関係
荒さん> イメージとしては、以前いわれた「数の論理」や「構成要素の濃度」
> が、検出、自己組織化、自己保存といった流れにいく道筋に見えます。
> 検出可能な部分系の発生は何らかの形で記述できると期待しています。
本人はうまいストーリーが湧かないので苦労しております.(;_;)
本題の「持続」と階層の関係については,後日たたき台を示すことと
いたしまして,

上文の ○ 部分系の検出
は,とても重要だと思うのでコメント(提案)させていただきます.

(以下の議論は,全くの私見です.ご意見お待ちします)

○ 物理的な部分系

解析学では一般に任意の部分系を想定できますが,観測や検出という
行為を積極的に考える場合,それほど任意にとれません.
それで,観測や検出を陽に考える際は,解析学でいう任意の部分系とは
異なる「物理的な部分系」を考える方が良くないでしょうか?

どうしてそんなことを言うかといいますと,連続で単調な分布の
場合,境界線をどこに引けばよいか「迷っちゃう」..という,とても
消極的な事情によります.つまり,我々は

1.連続な分布の特定の位置に線引きするのに,
  正当な理由を持ちません,

から,連続的なブロードな濃度分布の中に,境界を見いだすことは
難しいことを積極的に認めざるを得ません.(一つ一つは離散的でも
とても疎な,希薄な分布の場合も含むでしょう)

としますと,離散的,不連続な境界しか見いだせないわけですから,
離散的な物質分布を生じさせるようなメカニズムを保有する系
でないと,考察の対象とは成り難いことになります.

つまるところ,1.から,


2.生命を議論する対象となる部分系は,物理的境界の内部であって,
  境界の離散的な分布を形成するメカニズムを保有する


ことになります.

「物理的境界を形成するようなメカニズム」なんて書くとおおげさ
ですが,例えば,脂質の自己凝集する性質などです.自己凝集とい
うメカニズムが組み込まれていることで,脂質膜胞の内部は,明瞭
な部分系として考察の対象となります.

もし,脂質が自己凝集せずに連続的濃度勾配をつくっていたとし
たらどうでしょう?

なんだ,あたり前のことじゃないかと感じられる方もあるでしょう
が,1.と2.は,それ以外は生命として認識されえないと言って
いるので,書いた本人はかなり緊張しています.


そういったわけで,

「検出可能な部分系の発生」というよりは,...

「検出されるものが(物理的)部分系」と見なす方向が
良いと考えております.

同じことを言っているように聞こえるかもしれませんが,前者では,
部分系が一般の意味で使われているのに対して,
後者では定義が与えられています.

飯田
--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.


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