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生命の起源 #1081 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1081
DATE
09/06/1999 12:05:48 AM
TITLE
[life:01081] Re: 返
AUTHOR
"Kazuhiro Iida" <iidakek@***.***>
BODY


荒様,LIFEの皆様

(つづき)

荒さん:>「増加していた値がある時、一定値で
> 変化しなくなってしまった」とか「下降しはじめた」とかいう事象にもなにか
> 言葉を当てはめられそうですね。

飯田:急所をついたコメントです.Ψは,あくまで系の「状態」γから導かれる
関数なので,システム構造が「合目的性」を代表するような「項」を持っていたと
してもおっやるようなことが起こります.

(実験的に生命現象を再構成しようとする人が,特定の系を設計する場合
には,もちろんそうした問題はありません.検出関数は不要です.)

それで,「合目的性」の有無は,「合目的性」を代表する構造に特徴的に見ら
れる状態変化を評価して判断するしかありません.

以下は,構造の評価と状態の評価の違いが,実際に問題になった例です.

初めてのRNAの自己触媒反応実験の際,自己触媒反応ならば,RNAのテ
ンプレートは,時間とともに指数増加することが推定されていたのですが,
実際は,テンプレートどうしが相補的結合でお互いに反応部位を塞いでしまう
ため,√tでしか増加しませんでした.
では,この場合,指数増殖という性質では自己触媒反応を全く評価できなかった
かというと,テンプレート濃度が低い,反応の極めて初期の段階に注目して
そこで指数増殖が起こっていることが証明できたので,反応機構に自己触媒
反応があると判断したそうです.

「合目的性」,「意図」,「制御」といった属性の場合,システム構造そのもの
を判断基準にするところが,他の属性と異なりますが,上の例と同じことが
言えると思います.つまり,システムの状態だけを見て判定する場合,常に
その性質を反映した変化が見られなくとも,一定期間,その性質が見られた
なら,システムは「合目的性」や「意図」云々に相当する構造を持つと判定する
わけです.

(実験的に生命現象を再構成しようとする人が,特定の系を設計する場合
には,検出関数が代表する状態をどれだけの間,どれだけ強く満たしうる系
になっているかを推定できます.)

「合目的性」云々に関する,検出関数の扱いは,このように考えています.
いかがでしょうか?


(まだつづく)


飯田@NEC基礎研究所

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