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生命の起源 #1058 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1058
DATE
06/25/1999 08:35:37 AM
TITLE
[life:01058] pseudo-nucleotide, pseudo-DNA
AUTHOR
"Kazuhiro Iida" <iidakek@***.***>
BODY


LIFEの皆様

少なくとも酵素によるDNA合成においては,
ヌクレオチドの選択的結合に,ワトソンクリック対
の形成は必要無い可能性があるという論文が出ました.

{Matray, T.J. and Kool, E.T. (1999)
"A specific partnerfor abasic damage in DNA,"
Nature 399:704-708.}

むしろ,ワトソンクリック対は,その次のヌクレオチド
の結合(つまり鎖の伸長)に効いているような結果です.

水素結合を作らないような大きな塩基類似物質を持つ偽
のヌクレオチドを作ったところ,DNAの塩基喪失部位
に選択的に取り込まれ,そこで合成がストップすること
が確認されました.(この偽ヌクレオチドは,ターミネ
ータとして,塩基喪失部位を特定するという分析にも役
立つだろうとのことです.)

自然状態では,通常,テンプレートの塩基喪失部位には
アデニンヌクレオチドが選択的に結合し,はやりそこで
合成がストップするそうですが,偽ヌクレオチドは,ア
デニンヌクレオチドの10000倍近くも良くその部位
に取り込まれるそうです.

偽ヌクレオチドの塩基類似物質は,ちょうどワトソンク
リック対のサイズと同じ大きさになるように設計されて
おり,この大きさがDNA,DNA合成酵素でできる立
体構造にちょうど収まるために選択的な結合が起こると
しています.それで,立体的大きさこそが,ヌクレオチ
ド選択の主たる要因であると結論しています.

ということは,ATGC以外の物質でも,対合した際の
大きさがワトソンクリック塩基対と同じサイズになるよ
うなペア,αβペアとか,γδペアとかを作れるなら,
既存のDNA合成酵素を利用して,偽DNAがつくれる
ということですね.しかもそういう偽DNAは,天然の
DNAとは相補的でないから,遺伝的クロストークが起
こらないはず.DNAサイボーグとでも言いましょうか.

 :)

飯田@NEC基礎研究所

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Kazuhiro Iida, "Life and Evolution '99 --> "
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
Phone +81(298)50-1142, Facsimile +81(298)56-6136.
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