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化学反応の統計的扱いについて
下記のご指摘をいただきました.続けてお答いたします.
有光先生:
-----Original Message-----
From: 有光 敏彦 [SMTP:toshi@@***.***]
Sent: Wednesday, March 10, 1999 12:32 AM
To: arimitsu@***.***; iida@***.***
Subject: A reply to the question
飯田様
考えている化学反応系で生成可能なすべての物質(飯田さんが言われる出発物質も含
めて)を列挙できたとする。列挙する過程で化学反応式は書き下されている。それら
は微分方程式系を成すので,産物の分布は化学反応係数のバランスで決まる。ただし
,境界条件により産物の分布は変化し得る。
以上は,基本的に化学反応が境界条件と共に書き下されているいうのが前提です。連
鎖反応的に化学反応の種類が増えるというのは如何なる状況を考えられているのです
か?
化学反応式は原理的にすべて書き下されて(知れて)いて,時間の発展とともに初期
物質も含めた生成物質の最終分布は,微分方程式系の定常解として与えられます。
有光敏彦(京都より)
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飯田:
反応経路が爆発的に増える問題とは,次のような問題を指して
います.
1.一言でいうと,知られている反応経路の方が少ないこと
化学合成では,予想していない副反応で回収率が低下すること
がしばしばあるそうです.
そのため,結果を推定するには,可能経路を全てを数え上げる
必要がありますが,紙の上ならともかく,実験やシミュレ
ーションでは,その数の大きさが問題になります.
実験では,試行錯誤,手探りで良い結果が得られる条件を
探すことになり,シミュレーションでは,とりあえず知られて
いる限られた反応だけを扱うことになってしまいます.
2.ポリマーの問題
特にポリマーの場合,モノマーの種類が異なると,組み合わせの
数が膨大になること,生成物が特異的な触媒として作用する場合
があることから,最初に全ての化学反応を数え上げておくことは,
紙の上でしかできません.
なんとか紙の上で推計可能にした後,実験やシミュレーションに
落とせないかと考えております.
飯田@NEC基礎研究所
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