LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1342
DATE
03/21/2002 04:02:01 PM
TITLE
[life:001342] Re: SSOEL27-Biomarker
AUTHOR
Masatoshi OHISHI <masatoshi@@***.***>
BODY


三田さま,飯田さま,他の皆様

国立天文台の大石と申します。ずっとLIFEのメールを楽しく読ませて
いただいておりましたが,今回は天文屋の話なのでしゃしゃり出る
ことにしました(笑)

At 21:36 02/03/20 +0900, Mita, Hajime wrote:
>多分、天文分野では、酸素や水などさへ生物の存在を期待させるものと思えるほど、こ
>れらの化合物の痕跡すらなかなかお目にかかれないと言うことなのだと思います。恒
>星を中心に考えていれば、分子の存在すらないでしょう。惑星まで目を転じることに
>より、水を考えることができるようになるのではないでしょうか。ただ、星間分子雲
>を考えている人から見ると水(氷)の存在は当たり前のものだと思います。

私は星間分子を専門としていますが,星間空間には様々な有機分子が
存在しています。いつだったか生命の起原学会のシンポジウムで講演
させていただきました。そこではアミノ基,カルボキシル基を持つ有機分子が
星間空間に存在することをお話させていただきました。極低温の星間分子雲
に固体の氷が存在していることは,赤外線天文による観測で我々にとっては
「常識」となっております。

また太陽系の辺縁部からやってくる彗星からも水を始め,多くの有機分子が
存在することが知られています。

残念ながら酸素分子については検出はなされておりません。

恒星に目を転じても,例えば,太陽の黒点の中の水の存在が知られて
いますし,赤色巨星と呼ばれる低温度の星ではTiO,SiOを始め多くの
分子が確認されています。恒星の表面から飛び出した物質が凝縮して
形成される領域には,13原子からなる分子の存在も知られています。

> > もうひとつキーワード
> > シンポジウム2の惑星探査計画で,赤外線望遠鏡がご専門の
> > 三鷹の国立天文台の田村先生が,酸素や水などの
> > スペクトルを,天文屋は「バイオマーカー」(生物活動を示唆する)
> > と呼んでいるとおっしゃってました.

バイオマーカーと呼んでいるという話は初めて聞きます。彼の言う
天文屋とは,ニュージーランドの共同研究者のことを指しているかも
しれません。天文学者は一を見て十を知ったつもりになる人種なので
ローカルな話題を「天文屋は・・・」と拡大して話したのかもしれません。

   大石雅寿



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