LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1328
DATE
03/11/2002 11:03:27 PM
TITLE
[life:001328] RE: 物質の進化系統樹
AUTHOR
Kazuhiro Iida <piyopiyo@***.***>
BODY


根本様 皆様

根本さん>
ジェンコムの根本です。
今日、viva originoの講演要旨集を見ていて、
飯田さんの講演について興味を持ちました。
本当は学会に行きたいのですが、今年は諸事情があり行けません。
そこで、この場でお伺いします。
膜の出現に関して、とても示唆に富んだ御指摘だと思います。
今後、このような観点から具体的な実験に結びついていくととても面白いと思います。

飯田>
個人で基礎研究できる範囲で,少なくとも白黒がつくような実験計画書
を書くところまでは,持ってゆきたいと考えております.
予算のある方に興味をもっていただけたら,実行に移せるかもしれません.

根本さん>
また、場合によっては、物理的境界ができた段階で「生命」と呼ぶ方もいるかもしれ
ません。
飯田さんはどのように生命を定義しようと考えられているのでしょうか?
もし、簡単にでも答えていただければ有り難いです。

飯田>
私は,生物を理解していないのに生命を定義するのは時期尚早だと思います.:)
定義などせず,生物の特徴をもっとよく見るほうが良いと思います.:)

物質の進化系統樹は,生命ではなく,生物の物質系としての特徴を並べるだけで
で得られるものです.生命の定義や,まして原始環境を仮定する必要も全く
ありません.

根本さん>
ところで、飯田さんは「生命へ」というのは量子化傾向以降に描かれていますが、こ
ここでいう量子化傾向というのは、具体的にどのようなことを言うのでしょうか?

飯田>
論文(lifeのメールスプール
http://zoushoku.narc.affrc.go.jp/ml/life/htdocs/index.html
から,[life:1310]をご参照下さい.)には,
「量子化傾向がある」を
1.「物理的境界」があり,
2.その境界を通じて「特定の相互作用だけを許し」,
3.記号あるいは,構造要素的な役割を担う.
という成分に分解して表現しました.
個々の成分の物理的な意味については,式で定義してあります.

「量子化傾向がある」は,
分化したオルガネラのような系や,よりミクロなスケールでは核酸のような物質系の
機能・性質として抽出した性質です.
オルガネラや核酸のように安定な構造(膜,ヌクレオチド単位)があり,
それらが外部と相互作用する際に,限られた相互作用(例えば光受容,塩基対)
しかせず,より大きな系(葉緑体,染色体)の要素となるような性質を表しています.
相互作用の特異性が高まることは,膨大な,記号の組み合わせ空間を利用できる
ようになるという意味を含んでいます.

#より具体的な例(何という名前の藍藻の何というオルガネラに見られる性質とか,
#何という細菌の何というトランスポゾンの何という遺伝子とか)は,
#現在作成中のデータベースに載せる予定です.こつこつ.

飯田一浩

-----
Go to page top