LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1266
DATE
08/26/2001 09:15:24 PM
TITLE
[life:001266] Re: What is life? : The phylogenic tree of materials
AUTHOR
Kazuhiro Iida <piyopiyo@***.***>
BODY


三田様 lifeの皆様


(つづき,これでやっと返答をおわります.)


私が説明した方法は,
・実験に使う物質や反応条件が決まっていて,それがどんな属性に相当するか
 を「議論する」
のでなく,逆に,
・属性の獲得順序が決まっていて,それを実現できる物質や反応条件を「探す」
   もしくは「同定する」方法です.
従って,本来は実験が終了するまで,具体的な物質の名前や反応条件はでて来ません.


そんな方法を採用する理由は,前者と比較して,より高い証拠能力があると
考えるからです.

前者の方法は,期待する属性が実現できた場合でも,
・その結果が物質の進化上,どんな意味を持つのか,
・何故実現できたのか,
・同じグループの分子ならどれでも実現できるのか
などについて考察する基盤が弱いといえます.

これに対して,新しい方法では,
・期待する属性と先行する属性の物質進化上の順序が決定されていて
 (将来的には,進化系統樹上の位置が決定されていて),
・属性とその条件式を元に実験を計画する過程で,何故期待する属性が実現できた
  のかが明らかとなり,
・同じグループの分子でも,属性の条件式を満たさない分子群は実現不可能なこと
などが考察可能です.

個々の物質でなくそれが満たすべき条件式に注目していることは,小林憲正さんが,
氏の「ガベージワールド仮説」で,RNAなど特定の物質や,その組み合わせ(構造)に注目
するのでなく,「自己触媒」など「機能」に注目するのが合理的であるという考えを述べてお
られる(パリティ15,p.10)のと,あい通じるところがあります.

’実験が終了するまで,具体的な物質の名前や反応条件はでて来ません’などと悲観的にも
聞こえる言い方をしましたが,むしろ,検証実験が終われば,1種類の物質の名称だけでなく,
どのようなグループの物質ならこの進化ステップを全て実現可能であるといったふうに,より
多くの情報が得られるはず,と楽観的に考えております.

そのハッピーな結果を得るには,属性を元に「物性(反応基の数,比熱といった物質の性質)」
を絞り込む方法をもっと充実させる必要があるので,そのような手法の開発も平行して続けて
おります.

-------- 三田さんの指摘の第2の点に対する 返事終わり


(返事を書く間に,主張点を盛り込んだので長くなってしまいました.次は返事は返事だけ
で区切るように工夫します.)

飯田一浩


続けて読む場合,ウエブが便利です.
http://zoushoku.narc.affrc.go.jp/ml/life/htdocs/index.html


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