LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1249
DATE
08/21/2001 07:25:03 PM
TITLE
[life:001249] RE: What is life? : There is no life, but organism.
AUTHOR
Kazuhiro Iida <piyopiyo@***.***>
BODY


lifeの皆様   飯田です.

つづき.

3.従って、現存する生物,それらに共通する性質から起原を考えたい.

生命という概念が曖昧だとしても,生物が生命であることに異論を唱える
ことは難しいでしょう.少なくとも,現物を前に,これは「生命」ですか?と
訊かれるのと,これは「生物」ですか?と訊かれるのでは,後者の方が
(無意識的に)答えやすいと思います.目の前に現物があるというのは,
心強いものです.ならば,その現物から起原を考えていいのでは
ないでしょうか?これは,原生生物や細菌の系統分類や遺伝子解析
によって,起原を考えようと言っているのではありません.その方法は,
細胞以後の初期進化には極めて強力な研究方法ですが細胞
以前の進化に適用するには無理があるように思えます.私は,細胞以前
の物質系の進化に興味がありますので,生物を物質系と見て,その物理
的な性質に基づいて起原を明らかにできないかと考えております.

4.意外にも,生物に共通する性質を,それらが獲得された順序に並べる
  ことができることを見出した.

それで,生物の物理的な性質を数え挙げながら眺めておりましたら,
幾つかの性質は,より大きな概念の性質に包含されていることに気づき
ました.例えば,「物理的境界がある」という性質は,「恒常性を維持するよ
うに見える」という性質に含まれています.もっと分かりやすい例を挙げれば
(これは単なる説明のためですが)「脂質で出来た膜がある」という性質は,
「脂質がある」という性質に含まれています.

実は,この包含されているという関係が,時間順序を表していることに気づき
ました.先の例で説明すれば「脂質で出来た膜がある」という性質は,
必ず「脂質がある」という性質が獲得された後か,それと同時に獲得されます.
逆の順序で物事が起こるとすると,矛盾を生じます.それで,この事実が
示す順序を「包含順序」と呼ぶことにしました.
Iida, K. (2000) VivaOrigino 28:22

数えた生物の性質どうしの包含関係を総当りで決定すると,物質に近いもの
に始まり,より生物らしい性質へと発展してゆく系列群が得られます.これら
の系列群間が,どこで交差するかを決定すると,生物らしい性質に収束する
ネットワーク,あるいは樹状図ができるはずです.現在これを作成しています.
飯田一浩 (2000) パリティ 15:27-29.
この図が,起原の研究にどんな貢献ができるかは,タイトルをあらためて
ご説明いたします.

There is no life, but organism. 終わり. −−−−−−

ご批評いただければ幸いです.

飯田一浩
(新しいメールの仕方については,1タイトルのメールとしては少し分量が多かった
と思います.疲れてしまいました.もう少し細切れにしないと,コメント
が来た時,返事が終わる頃に当初の論旨を忘れてしまいそうな不安を
感じております.)


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