LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1248
DATE
08/20/2001 09:50:35 PM
TITLE
[life:001248] What is life? : There is no life, but organism.
AUTHOR
Kazuhiro Iida <piyopiyo@***.***>
BODY


lifeの皆様

夏休みから復帰いたしました.飯田です.
個人で基礎研究できる環境での議論をうけて、投稿と議論の
方法を模索しようと思います.
試行するにあたり、まず、当方の第一の興味であります、
生命とは何か?という問いかけについてディスカッション
願えれば光栄です.

−−−−−−−−−−−−− 以下本文 −−−−−−−−−−−
論旨:
生命という概念は曖昧である.原始環境も生物以前の痕跡も失われている.
従って、現存する生物,それらに共通する性質から起原を考えたい.
意外にも,生物に共通する性質を,それらが獲得された順序に並べること
ができることを見出した.これにより,生物へと至る物質系の進化系統樹を
書くことができる.

'Life' is undetermined concept. We have no precise data on the
prebiotic conditions of the earth, no fossil of material systems
that preceded life. So, we would like to consider the origins of life
based on the least common attributes of present organisms.
I found that the attributes can be arranged in the temporal order that
they had been acquired by material systems in prebiotic evolution,
using set theory. This fact enables us to draw a phylogenic tree of
materials.

本文:

1.生命という概念は曖昧である.

生命の特徴として,細胞であること,遺伝情報の伝達,代謝,恒常性の維持
などが挙げられてきましたが,業界での了解事項というまでに達していません.
核酸を持っていることを生物の定義とする,といった具合に断定して研究を
進めておられる方もおられますが,生物への進化の道筋を理解するために
その定義があまり役立つようには思えません.核酸が生じたら物質の進化
はそこで終わりだとは思えないからです.生命の起原研究は,むしろ生命が
何かを知るために進められているのであって,研究以前に生命を定義してし
まうことは,本末転倒に思えます.

2.原始環境も生物以前の痕跡も失われている.

昨年の横浜でのSSOELでは,原始の地球環境やピルバラででた熱水噴出口
付近の細菌らしき化石の話しなどたいへん興味深い話題が取り上げられていま
した.私が最も興味深かったのは,磯崎さんへの質問で,原始の温度環境すら
正確な値はわからないということでした.丸山さん,川上さんにもきいてみました
が,40億年付近,水が沸騰していたか,液体だったかも決定できないとのこと
でした.化学合成で起原を考える際,原始大気を仮定したり,原始の海を仮定
したりしますが,これらの仮定は,もともとかなり危ういものだという認識が生ま
れました.実験結果を積み重ねた末の結論といえども,それが生命の起原と
無関係の可能性が常にあるということです.

つづく.
続けて読む場合,ウエブが便利です.
http://zoushoku.narc.affrc.go.jp/ml/life/htdocs/index.html

飯田一浩



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