LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1196
DATE
09/14/2000 12:59:11 AM
TITLE
[life:001196] Re: Magnetochiral photochemistry
AUTHOR
mita@***.*** (Mita, Hajime)
BODY


飯田様 LIFEの皆様

> 偏りのない光でも,磁場がかかるとキラル選択性がでるという
> 実験結果がでていますよ.
> {Rikken, G.L.J.A. and Raupach, E. (2000), "Enantioselective magnetochiral
> photochemistry," Nature 405:932-935}

大分時間が経ってしまいましたが、読み直しましたので、コメントし直します。

> 飯田さん(Date: Thu, 6 Jul 2000)
> 私は,溶媒の誘電率がk・Bに依存するとして,それがどうしてキラル選択性に
> つながるのか,理解できてません
mediaは溶媒ではなく、ターゲットとする化学物質そのものです。この実験系では、K
3Cr(ox)3です。光と磁場の影響が電子分布に直接(程度は知りませんが)寄与するこ
とになります。この辺の効果・機構は、円偏光照射時と同じ事が起きていると考えて
良いでしょう。(化学反応として、どのように作用するのかよくまだ理解していませ
んが)

> 三田(Date: Thu, 6 Jul 2000)
> 円偏光では、反応物ごとに光の吸収波長が異なったり、円2色性の符号が波長に依存
> したりすることを考えなければなりません。溶媒のDCにまづ作用することは、ある
> 程度の空間的範囲で同様のキラルな効果を期待でき、非常に面白いですね。
基本的には、普通の円偏光によるCDと、同じような二色性スペクトル(MCD, Fi
g.1)で波長に依存してしています。このため、Fig.3bで示されているように、光の
波長がほんの少し変化するだけで、e.e.の符号が変わってしまっています。
多分これまでの報告で、コットン効果の波長前後(わずか数nm以内)の光照射でe.e.
の符号がこんなにきれいに変化することを示したデータはないのではないでしょうか
。(円偏光に期待した実験系を検討中の自分にとっては、困ったデータですが。)

ところで、e.e.を10^-4で測定していることは非常に素晴らしいことです。

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三田 肇 MITA, Hajime

筑波大学化学系宇宙化学研究室(下山研)
305-8571 茨城県つくば市天王台1−1−1
Tel : 0298-53-4134, Fax : 0298-53-6503

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E-Mail : mita@***.***
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