LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1174
DATE
07/05/2000 02:13:19 PM
TITLE
[life:001174] Magnetochiral photochemistry
AUTHOR
"Kazuhiro Iida" <iida@***.***>
BODY


山口様 LIFEの皆様

偏りのない光でも,磁場がかかるとキラル選択性がでるという
実験結果がでていますよ.

{Rikken, G.L.J.A. and Raupach, E. (2000), "Enantioselective magnetochiral
photochemistry," Nature 405:932-935}

光の波ベクトルkと磁場Bが平行な場合,キラル選択的光分解
(どちらか一方の光学異性体が分解されること)が促進されるが,
垂直な場合は,まったくそのような効果がなかったとのこと.

つかった材料は,Cr(III)-Tris-Oxalato Comlex

701nmの波長で,磁場の強さあたりの異性体比(Enantiometric Excess)は
約1.7×10^{-6} T(テスラ)^{-1}
だった.つまり,1Tで10^{−6}程度のE.E.になる.

地磁気は約10^{-5}Tなので極めて僅かな差しか生じないけど,
偏光源というのは探しにくいが,磁場の源はたくさんあるので,
生命の起原との関係でこの磁場光化学反応を考えてもよいのではなかろうか
とのこと.(中性子星の近傍では10^{8}Tだしーとも言ってました.)

飯田 拝

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