LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1141
DATE
03/12/2000 01:14:45 AM
TITLE
[life:01141] Questionaire Result
AUTHOR
"Kazuhiro Iida" <iida@***.***>
BODY


LIFEの皆様

先日ご協力いただきました意識調査の結果を
お知らせします.意外な結果がありました.
まず,データのみお送りして,後日,分析結果
をお送りします.
               飯田,川村,根本


☆☆☆☆☆ アンケート結果 ☆☆☆☆☆
回収期間 3月3日?3月10日の7日間

回答総数 13件

研究状況
起原研究している人: 8名
していない人: 3名(うち予定している方2名)
不明: 2名

所属分野
情報・システム: 6名
物理・化学: 4名
生物・分子生物: 2名
医学: 1名



***** 計数欄結果

1.学会の名前を複数挙げることができる. 8名
2.日常的に議論できる仲間がいる. 7名
3.最近のトピックを良く知っている. 7名
4.時代の要求に合致していると思う. 5名
5.特にリスクが高い研究とは思わない. 5名
6.他と比較して極めて重要で,夢のあるテーマだと思う. 10名
7.今後,他の分野と結びついて発展が期待できると思う. 12名


***** 記述回答欄
「1.現在,生命起原を研究していますか?.a.している場合,そのキー
ワードをお教え下さい.b.していない場合,将来その予定がありますか.」

研究状況の計数結果は上記です.
キーワードは回答者にあまりにスペシフィックなため,ここには掲載いたし
ません.ご了承下さい.


「2.研究のために,どんな環境があれば良いと思いますか?あるいは,現
在どのような障害がありますか.」

●会社の制度が障害,リストラされそう

●生命の起原だけでなくて,どの分野でもそうだと思いますが,研究には可
能な限り(無制限に)自由が欲しい.大学はそういう環境とはかなり遠いと
思います.まずは,情報,金,人が自由に出入りできるのが,ふさわしい環
境であると言えるでしょう.その基本があれば,いまあるほとんどの問題は
やがて消滅していくと思います.例えば,私は人事権がないので学生を雇え
ないし,金を稼ごうとしても自由にできない.従来型のシステムは研究をす
る環境としては,点数をつけると20点ぐらいでしょう.

●生命の起源を表に出すと,周りの研究者から冷たい視線をよく浴びます.
研究費を審査するのが一般的な生物の研究者であるとすると,先も大変なの
だろうと,研究費の苦労を知らない若手ながらも感じます.今後バイオのビ
ジネスかがどんどん進むと,お金になりにくい起源研究は大変になっていく
のでしょうか?もちろん,進化工学と絡める,という手はあるとは思います
が.

●NPOかサンタフェ研究所のようなところで,誰もが気軽に参加できる研究所

●まず,環境よりも人.本気で生命の起源の研究を立ち上げようとするなら
ば,自由に「安心して」議論,実験できる場が必要.そのためには,ポスト
,お金,権威が必要.ポストは「安心して」議論や実験をするため,お金は
あった方がかえって経済的であり,権威は「傘」をつくって,生命の起源の
研究をする人を擁護するため.

●現在の障害:生物学者の積極的な参加.物理屋,化学屋に偏った研究姿勢
.研究環境の貧弱さ.

●(回答)理論から実験まで幅広くテーマを扱い、大きい予算を取って来て
、それに参加出来る体制があればいいと思う。

●自分の専門分野が離れてしまったので、余裕ができるまで動きにくい。

●FPGAなどを利用した専用並列計算機。


「3.仮に生命起原研究の重要度を5段階で評価するとしたら幾つでしょう
?(5が最も重要としてご記入下さい.)」

重要度5段階評価(5が最も重要)
1: 0名
2: 3名
3: 2名
4: 1名
5: 6名

その他の記入
●私にとっては現在5.
●5と言いたいところですが,世間一般的には3,生物の業界内では2ないし1
かもしれません.


「4.起原の研究は,社会とどのように結びついているとお考えですか?」

●文化,人類の知に貢献

●文化に貢献するのであって産業的にはそれほど重要ではない.

●一般の人が興味をもつ分野ですので,しっかりした説明を常にできるよう
なことが必要です。

●第1は人間の知的好奇心を満喫させる点で貢献があると思います.第2は
その基礎研究から派生する応用分野での成果=技術です.

● 起原の研究そのものが社会と直接結びつくわけではないが新しい知見を
得ることは重要だと思う。直接社会と結びつくのは研究の方法や、起原を解
明する過程で得られた事実などだと思う。

●情報処理技術の飛躍的向上に結びつけたい

●一般のひと,特に子供に夢を与えることが大切だと思います.

●「人生の目標は何」といった哲学的問題に科学的素材を与える。

●生命をヒントにしたアナログ量子コンピュータの設計原理を与える。

●特に考えた事もないし結び付きを意識したこともない.だいたい,そんな
ものは研究から派生すべきものである.直接的な結び付きは見られていない
とおもう.

●ITの重要性が叫ばれている中、新しい情報処理パラダイムとして生命を生
命たらしめているダイナミクスに学ぶ点は大きいと思う。起原研究は、ルー
ツを探るというだけではなく、生命とは何かということを考える点でも重要
な意味を持っている。実際に新たなパラダイムが情報産業等で具体化すれば
、その経済的影響も計り知れないものとなることは疑いを入れない。また、
モノが溢れ、苦無く毎日を送れることから、日本人の「生」に対する感覚が
鈍くなっているように思われるが、近年報道される人の命を軽視した事件は
それを如実に語っている。起源研究は、その鈍った死生観に一石を投じる哲
学的な意味での可能性も兼ね備えていると考える.

●「生命の本質」を問うことで、生命に対する新しい視点、新しいとらえか
たを啓き、環境問題と生態系、遺伝子操作などといった、今日我々が直面し
ているさまざまな問題に対し、対処療法的な、その場しのぎのやりかたでは
ない、より本質的な方策を提案してゆけるようにすることで。



「5.今後,こんな研究活動もできると良いという事があればお聞かせ下さ
い.」

●テレビで生命起原の特集番組をぶつ

●ネットワークを使った,ゆるいがグローバルな研究プロジェクトができる
と良い.

●布教活動が必要.

●生命の起原のグループで事業ができればすごいですね.何やら,大学でも
役員以外なら企業の仕事との兼任ができるようになるらしいです.民間の投
資だけで探査機を打ち上げて,惑星探査をする(これは壮大すぎる).研究
成果をインターネット,マスコミ,本を使って成果を報告宣伝する.私はプ
ラネタリーソサイエティー(カールセーガンが会長,ただしもう亡くなりま
した)なるものに入っていますが,例えばT−シャツ,カレンダー,コーヒ
ーカップなど売っています.これはアメリカでは色々の分野でこうしたサイ
ドビジネスがあります.あのゴードン会議でもT−シャツを売っている.私
は周期律表の印刷してあるコーヒーカップを持っていますが,これが学生に
結構うらやましがられる.これは研究活動ではないですね.研究活動する側
としてはスポンサーが欲しいですね.いまのところ,巨額は要りませんが,
人にアピールするとなると,華やかさも必要です.なんでも実用的なことと
いうのが,これまでの日本の技術の方向でしたが,今は技術を楽しむ時代で
す.しかし大学はまだまだ古い時代のままで,「何に役に立つ」という役に
立つ中身が,製造的,実質的,物質的なことに偏り過ぎです.ポケモンやプ
レステ2と大学の研究のギャップをみるとよく理解していただけると思いま
す.その視点からは,生命の起原の研究はやはり知的好奇心を満足させると
いうのが最大の売り物だと思います.アピール次第では,まだまだ可能性が
広がると思います.

●もちろん,自分で作った生体高分子だけで動く「生命もどき」を作ること
です

●従来の概念,分野としての方向性,手法などの「しがらみ」を何とも思わ
ない頭の軟らかい建設的な物理,化学,生物学者,計算機科学者がグループ
を組んで,本当に必要な「生命の起源」の要素を絞り込み生命の起源を再現
する(計算機実験をする場合にはアホみたいに計算時間がかかるようなもの
は却下,だいたいそんなモデルはつくった人達の自己満足なだけで本質に絞
り困れていない場合が多い).

●現在の所属は医学部だが、バックグラウンドは物理なので、「生きている
状態」とは何か、という問題に対して、抽象化したモデルを構築して、計算
機シミュレーションを援用した研究が出来る(かも?)。このアプローチは
、起原に留まらず、生態系にも適用出来ると考えている。しかし、妄想の段
階で、ほとんど具体化していないのが現状。



***** 自由意見欄 *****

●色々空想をめぐらすことで,もっと道は開けてくるような気がします.

●功なり名を遂げた研究者がいつでも「でも,自分は○○の権威である」と
逃げれちゃうような研究姿勢じゃ「旦那芸」以上のものは出ないのでは?地
球物理の範疇に生物学がもっと入り込まないとダメ.それから「○○帝国主
義で良いのだ」とか言っているようじゃインパクトのある仕事は出ないでし
ょうね.仲間受けはするかもしれないけど,そんな種類の研究じゃないんだ
から.ゲノム科学でもそうだけど何で日本の科学では「戦略的な構想」が立
ち上げられないのだろう?なんか場当たり的に各々が自分の狭い領域の中で
自己満足しているようにみえる.テーマは大きく,関連する研究,産業も出
てくるようなものなのに,そこには何ら戦略的な方向性が見られない(あと
,戦略は1度決めたらおしまいではなく,状況に応じて臨機応変に変えてい
くものである).

以上です.
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