LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
114
DATE
09/25/1997 10:50:58 AM
TITLE
[life:000114] Re: What is life?
AUTHOR
"飯田一浩" <iida@***.***>
BODY


小野 様 LIFEの皆様


1.物理的部分系の話

> 飯田>2.生命を議論する対象となる部分系は,物理的境界の内部であっ
> >  て,境界の離散的な分布を形成するメカニズムを保有する
> >
> >「物理的境界を形成するようなメカニズム」なんて書くとおおげさ
> >ですが,例えば,脂質の自己凝集する性質などです.自己凝集とい
> >うメカニズムが組み込まれていることで,脂質膜胞の内部は,明瞭
> >な部分系として考察の対象となります.
>
小野さん> ここで「境界」として意識されているのは、拡散反応系における界面
> のように、「系の状態が(急速に)変化する領域」というよりも、
> 「物質の行き来を制限する構造」としての境界という意味と考えて
> いいんでしょうか?
>
> (どうも両方の見方が混ざっているようにも思えるのですが..)

物理量の離散的な分布があれば良いので,拡散制限で生じるような
構造も含まれます.(こういう指摘をいただけると,とても嬉しいです.)
小野さんのご指摘を招いたので「物理的境界」というものを
定式化する必要を覚えます.しばらくお待ち下さい.


小野さん> ある部分系がそれと認識できるためには、その部分系と残りの
> 系との間の物質(、エネルギー、情報等)のやりとりをどこかで
> 制限する構造(境界、あるいは「膜」)が存在すればいい。
> 特に、その構造をその部分系自身が作り出し、維持している場合、
> それはひとつの特徴的な部分系として検出され得るだろう、という
> 筋書きなんだと思うのですが、

スタンスとして,全体の見方で「受動的な」書き方をしようと思って
ますので,「部分系自身が作り出す」とは考えていません.
そのような離散的分布を生成するメカニズムがあると,外から見て
部分系が定まるという筋書きです.

# 受動的に書くということは,「自己創出」「自己保存」といった
# 能動的な解釈を一切許さないということではありません.
# 一番外側から書くとそうなるという意味です. :)


2.機能としての境界

> そういった領域や状態としてではない、「機能」としての境界、を
> 数学的というか物理的に記述する方法はどんなものが考えられるの
> でしょうか、そこのところがまだ良く分かりません。
>
> どなたか教えて下さい。

「機能」としての境界とは,何を意味しておられますか?
目的論と一体の「機能」の意味ではありませんよね?
特定の方程式が成り立つ領域という意味でしょうか?
もう少し,解説いただけるとありがたいです.

飯田一浩
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"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.


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