LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1082
DATE
09/06/1999 02:34:26 PM
TITLE
[life:01082] Re: 返
AUTHOR
"Kazuhiro Iida" <iidakek@***.***>
BODY


荒様,LIFEの皆様

(つづき)

飯田>逆に,そのような項を含まない系は,「意図」「合目的性」といった
>解釈とは無縁であるとも言えるでしょう.いかがでしょうか?
荒さん:>「Ψの値が変化しない」場合ですね。生物実験屋的な直感でもこれは
>基準として正しそうな感じがします。

飯田:ホメオスタシスに相当する「Ψの値が変化しない」場合は,
他の因子は変化しているなど,付加的条件が必要でしょう.
「Ψの値が増加する」場合も同じことが言えます.
「Ψの値が減少する」場合は,系が失われるので生命系の属性としては
難を感じます.もちろん,1部分を見るとアポトーシス(生理的細胞死)のように
Ψの値が減少する場合があるので,Ψをどの系に対して適用するか?という
次の問いは,もっともです.

荒さん>この検出関数は系に対してどのように
>与えられ(発生して)いくのでしょうか?
>現実には人間が考えていくわけですが、

飯田: 系は,遷移し発生し発展しますが,検出関数は発生しません.

検出関数は,物質系の発展段階に合わせて,その生じてくる特徴を表すのに
適切な表現を人間が与えたもので,いわば物差しです.ですから,検出関数
が系の遷移に伴って新たに生じることはありません.

但し,検出関数の「値」に注目することで,新たな属性の出現を知ることは
できます.検出関数「値」が,初期状態では「0」だったものが,系の遷移に
ともなって,ある時点で「1」になったとすると,その時点で属性が生じたと
判定できます.

荒さん>自然界でもこうした検出関数のようなもので自己以外の認識とかをしていると
>思われるのですが(ちょっとはみだしました)。

飯田:例えば,どんな例があるでしょうか?

実は,これは重要な問題です.ある系が,他の系を一定の方法で観測
しているとします.この観測方法を表現するのに,Fという関数を書いたとします.

重要なのは,Fは我々のいう検出関数Ψでは無いことです.

検出関数Ψは,系の外に居る人間が与えます.

それで,

1.Ψの計算にFの値が含まれても良いですが,
   ( つまり,Ψ(..,F,..) はOK.  )

2.Fの計算にΨの値が含まれてはなりません.
   (つまり,F(,..,Ψ,..)は駄目.  )

  ふくまれちゃうと,系の中にそれを観察している人が入っているという
  堂々巡りの妙なお話になります.

(つづく)

飯田@NEC基礎研究所

-----
Go to page top