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飯田さんならびにLIFE MLのみなさまへ:
中川@KITです。
遅い返信で申し訳ありません。
In message "[life:01066] Re: mitchondria moves like bacterium",
Kazuhiro Iida wrote:
ここまで省略いたします。
>飯田: 細胞の駆動装置というと,筋肉や,鞭毛,繊毛などを
>思い浮かべがちですが,アクチンの重合は,よりシンプルで
>普遍的ですね.
>
>生命系の要件として,駆動装置の存在は,必要条件と十分条件の
>変わり目(つまり起原)にかなり近いところにあると思います.
>それで,このシンプルな駆動機構は,十分起原に関係する考察の
>対象になると思います.
たしかに意図を持って動く(動くことが出来る)というのは、
生命の重要な用件ですね。
>例えば,アクチン重合につかわれるATPと,筋肉の収縮に使われる
>ATPの使われ方は,全く異なるように見えますが,類似点は
>無いでしょうか?最近の説では,ATPは,ミオシンヘッドの振動を
>抑えるように作用するそうですが,アクチンを重合させる際の機構
>とは無関係でしょうか?
アクチンの重合とATPの加水分解はカップリングしてません。アクチン
のATPase活性の機能的な意義は、現在もうまい説明がないと記憶して
います。微小管のダイナミックインスタビリティーのような現象も、
アクチン繊維にはうまく適用できないらしいです。
ミオシンが力を発生する機構で問題になっているのは、ATPの加水分解
で得られるエネルギーが熱揺らぎよりもあまり大きくないことだそうで
す(この辺は柳田先生の講演で聞いたことなので、詳しい数字は申し訳
ありませんがわかりません)。そのためATPのエネルギーは、駆動の力
ではなくミオシンヘッドの熱揺らぎの方向を制御するために使われてい
ると考えられるようになったそうです。
記憶で書いているので、間違いがありましたらご指摘ください。
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中川 裕之
九州工業大学 情報工学部 生物化学システム工学科
E-mail: hiro@***.***
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