LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
106
DATE
09/24/1997 12:30:47 AM
TITLE
[life:000106] Re: Material is not primitive things for Life
AUTHOR
"Takeshi Ara" <ara@***.***>
BODY


荒@京大農です。

> 1.場?
> 生命システムが内在する「場」という概念が良くわからないのですが,
> (申し訳ないです.)統計力学でいう「場」の意味ですか?
> ベクトル場みたいな意味ですか?特定の方程式に従う大きなシステム
> という意味ですか?

これは部分系の外側という意味では?

> 物質ベースの生命システムでは、その拘束条件として物理があり、化学が
> あります。また、コンピュータ内における生命システム(仮にできたとして)
> では、ノイマンアーキテクチャなどが拘束条件になっていきます。でも、

拘束条件とは構成要素の基本的性質のことで、代謝の基礎となる関係ですね。

>2.システムの持つ、変化しようとする力は重要である

これは熱力学的ドライブ(またはそれに導かれる物)のことでは?
生命システム内部に存在していればよいのですね。

>すでにかなり進化した生命でいえば,例えば
>突然変異を自分で起こすようなことでしょうか?
>見方にもよりますが,配偶子形成で,接合でおこる
>遺伝子の組み替えは,積極的に変化しようと
>していると解釈しますか?

生命の定義がはっきりしていないときちんといえませんが、DNAを構成要素
としてその代謝として遺伝子の組み替えを考えるなら、それに対応する熱力
学的ドライブにあたるものが定義(検出?)できればよいのですよね。ただ
「変化している」とはいえますが、「積極的に」はもう少し具体的には「生命
維持/自己保存に有利に」と言い換えてよいのでしょうか?

>3.システムの初期の立脚基盤を無視して変化しうる

初期かどうかにかかわらず次のように書いた場合、

立脚基盤:1. 構成要素の基本的性質
     2. 構成要素の代謝の方式
     3. 部分系外の構成因子の基本的性質
     4. 構成要素と部分系外の構成因子の代謝の方式

>> 私のイメージとしてはカオスダイナミクスがありました。有名なパイこね
>> 変換でも、初期状態における特性が、引き伸ばされ、畳まれ_(ID
>> その情報を失っていくものです。つまり、初期状態に重点を置くより、そ
>> のダイナミクスの方がプリミティブではないか、と考えました。
>これはとても面白い視点だと思います.
>もっと議論してみたい話題です.:)

> ムをこのような2元に分離するのはふさわしくなく、情報ダイナミクスの中で、
> 意味が更新されていくようなものにすべきではないかと考えられます。この意

> ゲームとしては言葉遊びとかが例として挙げられるかも知れません。少なくと
> も物質基盤はありません。子どもの遊びなどでは、その時々に応じてルールが
> ダイナミックに変化していきます。「遊び」としてはみんなが同意できるもの
> でも、それを細かく還元していくことには自ずと無理が生じて来るでしょう。

> 余談ですが、RNAや蛋白質その他の微妙な関係が新たにルールを見つけ
> だすような形で進化したという仮説は、面白いですし、しかもシステムの
> 発展に関わる物質の重要性とも、なんら矛盾ありません。 :)

これらのダイナミクス、更新、ルールなどの言葉は、立脚基盤1?4のうちの代謝の
方式が変化して行く過程のことですね。

> 生命システムが内在している「場」との相互作用性による、初期物質場
> による束縛からの離脱についてです。

部分系内の構成要素と部分系外の構成因子の代謝により、変化していきますね。


> ム階層として切り出した場合においても、それを構成するシステム要素自
> 身の自律性により、容易に変化していくものであるということです。ここ
> が、システムの自己崩壊過程の原動力であり、また、再構成のための原動
> 力でもあります。

この原動力は熱力学的ドライブ+散逸のセットでしょうか。自己崩壊/保存
についてはまた別にメールします。


> 小石をたくさん積み上げておいて,注意深く小石を取り除いてゆくと
> とても一個づつ積み上げてはつくれそうもないアーチを作ることができます.
> できあがったアーチを見ても,それが先の方法で作られたことを知ること
> はもはやできません.現在の生物ができあがる時も,これと同じように
> 捨てられた小石がたくさんあるはずで,現在の姿だけ見てもその作り方を
> 知ることは難しいことを言っています.)

これは構造の多様性の存在を示唆しているように思えます。

それでは。

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荒 武 (Takeshi Ara)
京都大学 農学研究科 農芸化学専攻 植物栄養学研究室
Tel : 075-753-6108 FAX: 075-753-6128
e-Mail : ara@***.***
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