LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1001
DATE
02/22/1999 04:14:37 PM
TITLE
[life:01001] RE: 間接度の意味,そ
AUTHOR
"Kazuhiro Iida" <iidakek@***.***>
BODY


平藤様 LIFEの皆様

(つづきです.)

平藤さん:
1昨日,昼食を食べながら,淘汰がなぜ起こるかの物理的起源をちょうど議
論してま
した。突き詰めると,2つのフェルミ粒子が同じ場所にいることができない
という
「パウリの排他律」に行き着くんですね。パウリの排他律があるためにいす
取りゲー
ムを強いられるわけです。物質とエネルギーの総量(リソース)が一定とい
うエネル
ギー保存則ももう一つの原因ですが。

飯田:
この帰結はすごいですね.もう少し解説していただけませんか.
まず,上で淘汰はどのように定式化されるでしょうか?


飯田:
>うーん,それは確かに難しいですね.決まった物質の分布に関する情報は統
計力学
>でも扱えそうですが,一つの分子が持っている形や各部の運動状態という
情報は
>どうしたもんだろ.....

平藤さん:
分子モータ同様,一分子になると量子論的扱いが必須となりますが,分子間
の情報の
流れの定式化には量子コンピュータとのアナロジーが使えるかもしれないと
思って,
考え中です。
「ほら,ここをクリックするとDNAにある2qubitの量子情報が酵素の方にこ
ういう具合
に流れるんだよ!」っていう感じでモデルが動けば一番良いんです
が...。
上で述べた大域最適化アルゴリズムを数10個の量子ユニットからなる簡単な
モデルと
しJavaアプレットで作ったんですが,それでも計算にものすごい時間がかか
りWeb上の
公開はあきらめました。DNAとタンパク質の間の量子論的相互作用をリアリ
スティック
に計算するのはペタフロップ級のスパコンでも不可能ですから,何らかのア
ナロジー
を使って相当な強引な単純化が必要そうです。

飯田:
ええと,ある1分子の量子状態を,0か1に相当する基本量子状態の重ね合わせ
か何かで表現なさるわけですか?この場合,もう一つの分子との相互作用はど
うなりますか?どちらかが観測系に相当しますか?

平藤さん:
例えば,晴れかどうかが五分五分(すなわち事前確率が0.5)のときの「70%
の確率で
晴れ」という天気予報は0.7の事後確率を与えます。このときの相互情報量

log(0.7/0.5)=0.49ビットとなり,「天気予報は0.49ビットの情報をもたら
してくれ
る」というように使います。

飯田:これって,ベイズ推定の問題で,上の0.49という値は,相互情報量じゃ
ないと思います.(間違ってたらご指摘下さい.)

(以上が平藤さんへの返事です.)

飯田@NEC基礎研究所

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